2023年度テーマ・理事長所信

2023年度テーマ

公益社団法人 厚木青年会議所

2023年度理事長所信

公益社団法人 厚木青年会議所,理事長,木村勇大
第55代理事長 木村勇大

【はじめに】

 「勇気を持って大きく育って欲しい」そんな母親の願いが込められ、私は勇大という名を授かりました。しかし、本当の勇気の意味をはき違えた、若かりし日の自分がいました。本当の勇気とは何なのか、また、本当の強さ、かっこよさとは何なのか、私は知りませんでした。そんな私が、縁あってこの厚木青年会議所に入会し、多くのメンバーや先輩と出会いました。地域のことなどそれまで考えたことのなかった私ですが、そこには、この地域のために考え、汗を流し活動する、粋でかっこいいメンバーや先輩が沢山いました。かっこいいの定義は人それぞれですが、仕事に家庭と大変なはずなのに、そんなことを厭(いと)わずJC活動を頑張っているメンバーや先輩は、なぜか魅力的な存在に思えました。また同時にJC活動には多くの人を惹きつけるだけの魅力があるのだと感じたのです。やがて何気なくJC運動を続けていくうちに、気が付くと厚木青年会議所の仲間と地域のことを真剣に語り合う自分がいました。仲間が成し遂げた事業を自分の事のように共に涙する自分がいました。人のため、地域のために活動していると本当の勇気とは何なのか、本当の強さ、かっこよさとは何なのかが、少しずつわかるようになっていきました。そして一人でも多くの仲間や市民の人達とJC活動の魅力を共有したいと考えるようになったのです。
 小さな頃、かっこいいヒーローやヒロインにみんな憧れたと思います。それをたくさん真似し、遊んだと思います。しかし、大人になると、かっこいいを目指すことが、何だかかっこ悪いことになっているように思います。かっこいいものをかっこいいと言える自分に自信を持った、粋な大人でありたい。そんな粋なメンバーの、個性と組織が輝く厚木青年会議所を目指します。

 

【粋なリーダー育成】

 青年会議所の使命は「発展と成長の機会を提供すること」です。青年会議所に入会することで、発展・成長のための個人の機会、地域の機会、国際の機会、ビジネスの機会が平等に与えられます。入会した動機は人それぞれですが、厚木青年会議所の本質、即ち、3信条である「友情・修練・奉仕」を学び、自分自身がどのように成長したいのかを考え、理想に向け自分自身を磨き上げることが必要です。
 「過去と他人は変えられないが、未来と自分は変えられる」という言葉のように、まず自分自身が変わることで、関わるすべての人々に影響を及ぼすことができるのだと思います。私自身、JC運動を通じ、どうしようもない過去から自分を変えることができました。私が思う粋なリーダーとは、強い信念を持ちながらも清濁併せ呑むことのできる、思いやりのある人です。決められた価値観や考え方にとらわれず、自分とは異なる意見も積極的に取り入れれば、より良い答えを導き出すことができるかもしれません。また、時として意に反することや理不尽に感じることも乗り越えるぶれない姿勢を持つことも必要です。
 そんなメンバーが多く集えば、厚木青年会議所が地域から必要とされる団体として輝きを放ち、同時に一人ひとりが地域に希望をもたらす光となり得るのです。本年は、粋でかっこいい魅力あるリーダー育成に向けた取り組みを行っていきます。

【拡大しない拡大へ】

 例えば就職活動において、業績の良い有力企業は引く手あまたであり、『御社に入れて下さい』とこぞって就活生が希望するでしょう。本来、厚木青年会議所もそのような団体であるのが理想です。しかし現実は入会希望者を募るも苦心し、結果、厚木青年会議所の会員数は減少が続いています。我々は改めて何故会員拡大が必要であり、そのためには何が足りていないのか考えるべきです。大前提として、入会して活動したいと思ってもらえる魅力ある会(組織)でなければなりませんし、その魅力をしっかりと発信することも重要です。そのためにはまず厚木青年会議所メンバーそれぞれが拡大担当の当事者であると自覚してください。次に男性会員だけでなく女性会員にとってもJC活動の魅力は何なのか、どこが好きなのか再認識する機会を構築していきます。そこで1人でも多くの人にその『好き』を拡散していきましょう。
 単に会の存続のために会員拡大をするのではありません。地域に深く関心を持ち、未来の子どもたちのために行動し、明るく豊かな社会の実現を目指す唯一無二の団体が青年会議所であると私は確信しています。多くの仲間とともにその実現を目指すことこそが会員拡大の真の目的であると考えます。
 メンバー一人ひとりが高い資質を持ち、粋でかっこいい魅力的な集団であれば自然と人が集まってくるはずです。「拡大しなくても拡大できる」そんな理想の拡大を推し進めていきます。

【継続事業への取組み】

 我々厚木青年会議所が鮎まつりに事業として参加したのは、1970年代中頃に当時空き地であった場所(現在のアミューあつぎ)を利用し、ふれあい動物園を企画したのが始まりと聞きます。当時のメンバーは多くの子どもたちを笑顔にすることと、多くの人が集う鮎まつりの場で事業を行うことで、厚木青年会議所の存在を広く知ってもらうことを目的として開催したそうです。長年にわたり鮎まつりへの事業参加を続けてきた厚木青年会議所ですが、予算や参加の形式は変わっても当初の目的を失うことなく続けてこられたことは、定点撮影と共に厚木青年会議所が誇れる継続事業と言っても過言ではありません。新型コロナウイルスの影響もあり鮎まつりは数年中止となりましたが、地域の子どもたちを対象に当会が実施したアンケートからも、地域のお祭りやイベントの復活が望まれていることは明らかです。新たな生活様式と地域の経済状況等によって未だ中止や縮小傾向にあるさまざまな催しの中で、改めて我々は継続事業に対しての取組みを見つめ直し、その目的を明確にする必要があると考えます。
 子どもたちを笑顔にし、活気あるまちにするために何が必要とされ、何を求められているのかを考え、時代に合った手法を用いて、厚木青年会議所が行うまちづくり運動を発信し、これからも地域の方々と共に郷土愛を育み、より活気あふれるまちへと変革する事業を展開していきます。

【青少年へ伝える“生き方”のすすめ】

 未来を担う地域の青少年たちの健やかな成長を促すことは、いつの時代に於いても我々親世代の責務です。親世代の青年経済人として、多感な青少年たちに対して、学校や家庭だけで教えることのできない実社会において必要で大切なことや、周囲に対する感謝の心を忘れない事を伝えていくことができるのは、青年会議所だからこそではないでしょうか。
 我々青年会議所にしかできない、学校教育ではフォローできない本当に大切な“生き方”を青少年に示していく必要があるのです。
 青少年たちには、自分の道を自分で切り開いていくために、大きな夢や希望を描いてほしいと同時に、日常生活では体験できない貴重な時間を通して、何ごとにも前向きに挑戦する心、困難に立ち向かい乗り越える力、達成感から生まれる誇りと自立心、こうしたかけがえのない体験を、未来を担う青少年たちのために提供してまいります。

 

【親子で創る、まちの未来】

 2016年の参院選後、総務省がインターネットで実施した18歳から20歳までの男女3000人を対象とした「18歳選挙権に関する意識調査」によると、子どもの頃、親の選挙について行ったことがある人の投票参加は63%だったのに対し、ついて行ったことがない人は41.8%と低いことがわかったそうです。親子での投票は、親が選挙に行きやすくなるだけでなく投票を通じ、早くから子どもに政治を親しんでもらうことで、将来の主権者意識の啓発に繋がります。
 本年は、厚木市長選挙、清川村長選挙が控えています。公開討論会を主催することにより多くの市民に主権者意識を持ってもらうだけでなく、親子連れ投票についても周知し、親子で選挙に行く習慣を生み出していこうと考えます。
 また、選挙後に3市町村の首長をお呼びし、地域の課題や取り組みに対して、多くの市民と共に考える市民の政治参加の機会を創出すると共に、さらなる主権者意識の啓発に繋げていきます。

【成長し続ける組織へ】

 青年会議所は会議が基盤となり、運動を生み出し、地域と共に活動する団体です。総会や理事会といった諸会議は目標の達成やメンバーに対してより高い効果が得られるように運営されてきました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、近年の青年会議所の運営方法は大きく変化しています。その一つであるWEBを活用したオンライン会議システムは対面のメリットが失われた一方、会議運営における意思決定までの時間とコストを大きく改善する結果となりました。
 我々は今後さらに時代に合ったより良い会議の運営方法を模索し、検討していく必要性があります。また、財務管理の面に於いても見直し・検討する事で様々な費用対効果を高め、青年会議所運動の成果をより大きくする事が出来るはずです。時代の変化に対応する柔軟さと規律を持ち合わせる事で更なる魅力的な組織へと進化していきましょう。

 

【発信力と吸収力】

 我々、厚木青年会議所は地域をより良くするために様々な運動を展開し、地域と共に発展してきました。この運動をさらに大きくするためには、情報発信力を高め地域の人々、各種団体、各地青年会議所と協調し、強いパートナーシップを構築していく必要があります。
 インターネットとさまざまなソーシャルメディアの普及により、誰もが簡単に世界中の人々と繋がることが可能になりました。しかしながら情報発信の手段が多様化していく中で、我々は、それを効果的に使いこなせていないのが現状です。我々の運動をより迅速に、かつ戦略的に地域の方々に伝えていくためには、対象を明確にし、事業の内容やその目的をわかりやすく発信し、共感を得るとともに、日頃から報道機関や関係諸団体と連携し、情報を共有することが不可欠です。
 又、発信(OUTPUT)だけでなく情報を吸収(INPUT)することがメンバーと組織のスキルの向上にも繋がります。国内で開催される各種大会へ積極的に参加することは、多くの同志と出会い、絆を深める事ができると同時に、LOMでは経験できないスケールメリットを活かしたセミナーやフォーラム等に積極参加することは、メンバー一人ひとりに大きな成長の機会をもたらし、ひいては組織と地域へのフィードバックへと繋がっていくはずです。

【防災レジリエンス】

 近年、毎年のように日本中で数々の自然災害が起こり、近い将来大きな地震も予見されています。これまでの経験の積み重ねから、情報ツール等の利便性は向上していますが、防災への意識や関心はどうしても時間が経つにつれ低下してしまいます。ある著名なマーケティング会社が2021年に実施した調査によると防災対策が必要だと感じている人は90.4%いるのに対して実際に防災対策を行っている人は51.5%しかいない現状があります。この地域に住まう人々に防災への関心や意識をより高めてもらうためには、継続的に防災や減災について学ぶ機会を提供しなければなりません。
 そして、厚木市、厚木市社会福祉協議会、厚木青年会議所の三者で締結した災害時相互協力協定に基づく災害時救援ボランティア支援センター設置運営訓練等を通じ、レジリエンスについても学ばなければなりません。レジリエンスとは、問題が起きた際、いち早く回復できるようになることです。レジリエンスの根幹にあるのは人、モノ、金、情報の流れの回復です。せき止められた流れを素早く回復することができれば、ダメージは最小限に留めることができます。それには、三者協定をより強固にしていくことが必要です。更に、我々の活動エリアは厚木市・愛川町・清川村です。厚木市との三者協定をより強固にするだけではなく、愛川町・清川村との新たな三者協定へ向けた取り組みを実践していきます。

【絆とともに開く新時代の幕】

 1969年、日本で417番目の青年会議所として誕生した厚木青年会議所は、来る2024年、創立55周年という節目を迎えます。新しい時代を迎えるにあたり、昨今の社会情勢を踏まえた新たな中期スローガンを策定します。
 新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、以前では当たり前に取れていた先輩やメンバー間のコミュニケーションが不足していることは残念でなりません。本年は現役メンバーと先輩との交流の機会を積極的にもち、スポーツやその後のサロンを通じてコミュニケーションや親睦を図ります。さまざまな交流を通じて現役メンバーから先輩へ何でも相談できるようなネットワークづくり、チームワークづくりを進め、その絆を強固なものにします。
 新たな目標の策定と先輩との強固な絆によって、厚木青年会議所のまちづくり運動や会員拡大は確実に前進し、より盤石な組織として創立55周年という新時代の幕開けを迎える第一歩を踏み出すことになります。

【人との出会いが人生を豊かにする】

 「人との出会いが人生を豊かにする。」これは私が青年会議所で学んだ事です。多くの人と出会い、汗をかき、同じ釜の飯を食べ、時にはぶつかる。やがてそこには絆が生まれ、自らの成長があるのです。人は人でしか磨かれないからこそ、多くの新しい出会いを求めて成長していくものだと考えます。青年会議所は100を超える国が加盟し、16万人以上の同志が世界におり、全国には694の青年会議所と3万人近い同志が各地域で運動を展開しています。出向することで新たな出会いがあり、青年会議所のスケールメリットを活用し、さらに個々を磨くことができます。参加するための時間や費用を作ることも1つの経験として自らの成長を促します。是非、稀有な機会を逃さず挑戦し個人の成長に繋げて下さい。また出向で得た学びや経験は、個人の成長だけでなく、LOM内で共有することで組織の持続的な発展と運動の進化へと繋がっていきます。挑戦し、多くの人と出会い、磨かれれば磨かれるほどより輝き、粋でかっこいい魅力的なメンバーが一人でも多く増えるように出向支援を行っていきます。

【結びに】

 粋は江戸時代から『いき』と言われ態度や身なりが洗練されていていることを意味し、上方では本来の音読みで『すい』と読み、混ざり気がなく優れているという意味で使われてきました。そしてどちらも共通する意味として、人情と世情に通じている人の事を指すといいます。まさに、私が目指す青年会議所とは、身も心も洗練されていながら、純粋に仲間のため、市民のために活動する、人・まちに通じているメンバーが集う組織であることです。
 中国の古いことわざに「二師三兄五友五弟」という言葉があります。尊敬できる先輩や共に汗を流す仲間たちと過ごし自分を磨いていくことによって、豊かな人生を送れるということなのです。私は、厚木青年会所に入会し、様々な経験と人生の糧をいただき、良き師、良き兄、良き友、良き弟に出会うことができました。
 その全てにより今の私があり、本当の勇気とはなんなのか、本当の強さ、かっこよさとは何なのかを気づくことができました。私を育ててくれた厚木青年会議所に感謝すると共に、本当の勇気を持って行動することで、1人でも多くの市民の方から厚木青年会議所が粋でかっこいい魅力的な組織だと感じていただけるよう、メンバーと共にさらに成長していきたいと考えています。そして、その我々の歩みが、厚木市、愛川町、清川村をさらに魅力あるまちへと輝くよう努めて参ります。

第55代理事長 木村勇大

組織図

公益社団法人 厚木青年会議所
公益社団法人 厚木青年会議所