2026年度 理事長所信

【はじめに】
支え合うことで、私たちはどんな困難も乗り越えられます。仲間との支え合いが絆を深め、組織を強くしていくからです。世界に誇るトヨタ自動車の生産現場には「アンドン」と呼ばれる緊急停止装置があります。どの立場の作業員でも異常を感じたらラインを止められる仕組みです。実際、若手作業員がわずかな違和感を察知して停止し、何千台もの不良車を未然に防いだ事例があります。その時、上司はこう言いました。「君が止めたのは生産じゃない。会社の信頼を守ったんだ、ありがとう。」このエピソードが示すように、青年会議所もまた、役職や肩書きに関係なく互いを信じ、支え合う関係性によって大きな力を発揮します。
悩みを抱える時間が長ければ長いほど、大切な挑戦のチャンスを逃す可能性は高まります。だからこそ、信頼できる仲間と出会い、時に背中を押され、時に支え合える関係がいかに貴重かを、私たちは何度も実感してきました。リーダーとは一人で旗を振る人ではありません。率先して行動しながらも、仲間と歩幅を揃え、共に悩み、共に喜び、共に成長する存在です。私はこの志を胸に、互いの信頼に支えられた組織づくりを進め、挑戦する青年を支える揺るぎない基盤となるよう力を尽くします。
共に支え合い成長しよう
(会員開発委員会)
青年会議所は「人が成長できる場所」です。未来を担う人材には、知識や技術だけでなく、人間力(信頼を築く力、他者と協働する力)が不可欠であり、それは実践を通じてこそ養われます。自身の可能性を広げ力を発揮するためには、支え合い、学び合う環境が欠かせません。多くの仲間との出会いや協力の中でこそ、人は真の力を身につけます。
まず、青年会議所はそのような成長の場を提供し、「支え合う環境」を築いてまいります。どのような理念で活動しているのか、どのような仕組みで組織が動いているのかを理解することは非常に重要です。そのうえで、自分が地域のために何ができるのかを考え、実行する力を身につけることが求められます。その第一歩が「新入会員セミナー」です。ここでは、理念や活動、組織の仕組みや運営を学び、実際に人脈を活かして成果を上げた先輩の事例に触れ、会の可能性を具体的に実感できます。加えて、メンター制度の強化や、配属前のオリエンテーション、半年後のフォローアップ面談など、成長が実感できる導線を整備します。
仲間の努力や成果を互いに認め合い、喜びを共有できる「あたたかさ」も、成長に欠かせない要素です。「何のために取り組むのか」という目的の共有、率直な対話、一緒に取り組む意思、これらが揃ってはじめて理想の組織が築かれます。お互いを認め合い、支え合い、一丸となって強固な組織をつくること。それは、単にまちづくりのプロフェッショナルを目指すだけでなく、ビジネスにおいても社会起業家として活躍できる一流の青年経済人の育成につながります。そのための例会を構築してまいります。学びを成果へ結びつけるため、目標設定シートや振り返り会を導入し、「学ぶ→試す→改善する」を可視化します。
青年会議所で得た知識や経験は、職場や地域に還元し、会社運営や課題解決の力として活かすことができます。活動は時に困難や挑戦を伴いますが、仲間と共に乗り越える経験こそが、私たちの成長と信頼の基盤です。会の活動は、ただ参加するだけでなく、仲間と協力しながら創り上げていく過程であり、その中で自然と信頼と絆が深まっていきます。青年会議所は「社会人の学び舎」。経験と絆を通じて仲間を信じ、共に前へ進み、地域から信頼される存在となるべく歩みを進めます。
仲間が地域を変えていく
(拡大委員会)
2025年度、私たちは100名体制の実現に向け、多くの仲間を迎えることができました。なぜ会員を増やすのか。それは、地域の未来を担う「人」を育てることが、地域全体を盛り上げる土台になるからです。青年会議所での活動を通じて、人は「自分のため」だけでなく「誰かのため」「地域のため」に行動する力を自然と身につけます。そうした人が地域に多く存在すれば、まちは確実に変わります。だからこそ会員拡大は、単なる規模の拡大ではなく、地域の未来をつくるために必要なのです。
多様な価値観や背景を持つ人材を受け入れるため、私たち厚木青年会議所は門戸を広く開いています。ただ増やすのではなく、理念をしっかり伝え、共感してもらうことが本質的に大切です。多くの青年が自然に参加したくなる雰囲気づくりに努め、時には注目を集めやすい魅力的なゲストをお招きし、出会いとつながりの機会を広げます。そのきっかけとして、興味関心を引く例会を年に2回開催します。紹介制度の明確化や体験入会、オンライン説明会の定期化など、入口を複線化し、一歩を踏み出しやすい導線を整えます。
さらに、青年経済人を対象とした異業種交流会や、「このまちを良くしたい」という志を同じくする他団体との交流会を実施します。地域を良くするには、一人ひとりが行動を起こすことが欠かせません。共通の目標を持ち、協力し合い、情報を共有しながら力を合わせて取り組みます。活動は楽しいことばかりではなく、困難や責任の重さに直面することもあります。しかし、それを仲間と乗り越えたときに生まれるのは、単なる友情ではなく、生涯の信頼で結ばれた「仲間」です。誰かのために動く勇気を持ち、共に学び合い、支え合える組織を目指してまいります。
未来へつなぐ、地域愛を育む
(まちづくり委員会)
厚木市・愛川町・清川村では、近隣自治体の再開発等による生活利便性の向上などもあり、若い世代を中心に転出超過が続いています。地域外の人には三市町村の魅力を伝え「住みたい街」と思ってもらうとともに、今住まれている人には「住み続けたい街」と感じてもらうことが重要です。特に後者は、街への愛着や誇りが人口動態に影響することが示されており、地域の人々が自らの地域に誇りを持ち、地域愛を育むことが必要です。
三市町村例会では、厚木市・愛川町・清川村に共通する隠れた魅力を発掘し、新たな魅力を創造します。自然、食文化、歴史資産、ものづくり、地域を支える人の営み、これら多様な資源を青年会議所メンバーを含む若者の視点で再構築し、テキストや映像コンテンツ等へ落とし込みます。完成したコンテンツは各市町村に提供し、地域PRや行政広報に活用いただけるよう働きかけます。地域に住む方にはさらなる郷土愛を、地域外の方には愛着を感じてもらえる機会を設け、未来を担う若者の視点で地域魅力の向上を図ってまいります。
「あつぎ鮎まつり」は今年から夏から秋へと移ります。このお祭りは80年にわたり、夏休みに帰省する人々や市民に親しまれ、厚木を代表する行事として愛されてきました。私たち厚木青年会議所は、この夏の記憶を大切にしながら、新たな郷土愛を育む取り組みを広げます。地域に根ざした事業を通じ、帰ってきた人が変わらぬ魅力を感じられる場をつくり、家族や仲間と楽しみながら誇りを育む機会を創出します。次世代へと語り継がれる記憶を、青年の手で刻んでいきます。
心躍る、未来へのDREAM
(NEXTあつぎ)
2025年度、私たち厚木青年会議所は、神奈川ブロック大会厚木大会の主管という大きな挑戦に、多くの仲間とともに取り組みました。大会で得た経験は私たち自身の大きな成長につながり、地域の若者にとっても夢と希望を抱くきっかけになったと確信しています。ここでの学びをメンバー自らの成長へと昇華させ、組織の発展へつなげられるかどうかは、2026年度の運動を左右するほど重要です。
この厚木大会でつながった行政、関係者、団体、携わっていただいた方々とのパイプは、厚木青年会議所として受け継ぎ、事業や例会に確実にフィードバックしていかなければなりません。属人化を避けるため、記録整備・手順書化・引継会の定例化を行い、資産として蓄積します。そして、地域に広く認知され、最大の運動発信の場とも言われる「DEAMフェスタ」について、初期からの歴史を振り返り、今日に至るまでの苦労や葛藤、携わってきたメンバーの達成感、地域にもたらした影響を共有することで、本番までに士気を高める場を例会として設えます。
2026年も厚木市最大のまつり「あつぎ鮎まつり」に参画し、「あつぎ鮎まつりDREAMフェスタ2026」を開催します。これまで築いてきたつながりをさらに活かし、地域の団体、行政、企業と連携しながら、参加者の笑顔が地域に広がる心躍る場を創出します。DREAMフェスタを単なる「一日限りの催し」で終わらせるつもりはありません。夢を見ること、夢を語ること、夢に向かって歩むことを体験する機会とし、次の時代をどう描き、地域社会とどう関わっていくのかを示す羅針盤とします。メンバー一人ひとりが役割と意義を感じながら、地域と共鳴する場を共に創り上げてまいります。
信頼される組織であるために
(総務委員会)
私たちは、まちづくりや地域貢献を目的として活動する団体です。その活動を確かなものとするには、外への発信だけでなく、内側の組織運営が整っていることが欠かせません。どれほど素晴らしい取り組みでも、組織としての信頼がなければ地域に受け入れていただくことはできません。その中心にあるのが「会議」です。どんな取り組みも事前に会議を開き、様々な意見を出し合って方向性を決めます。これは一部の独断ではなく、全員が納得し、参加意識を持って取り組むための大切なプロセスです。
価値観や背景が多様になる中で、従来の会議では思いや考えを十分に汲み取れない場面も増えました。そこで、会議の進め方そのものを見直し、誰もが安心して発言でき、建設的に意見を交わせる環境づくりに努めています。論点整理の徹底、資料の事前共有、発言機会の公平化、オンライン併用など、実効性のある改善を積み重ねます。また、最も重要な意思決定の場である通常総会では、活動方針や予算など団体としての方向性を全員で決めます。自らの意思で団体運営に関わる仕組みがあるからこそ、地域に対して誠実で責任ある活動を展開できるのです。加えて、規程整備や情報公開、コンプライアンスとリスクマネジメントの強化を進め、透明性と説明責任を高めます。2025年のブロック大会を通じ、「信頼される団体」のあり方を改めて実感しました。土台となるガバナンスをさらに強化し、より信頼される団体として、地域社会に必要とされ続ける存在を目指します。
つながり、可能性を広げる
(広報渉外委員会)
運動を地域に届け、多くの共感を得るためには、「何を」「誰に」「どう伝えるか」が極めて重要です。SNSが主な情報源となる現在、広報にもスピード感と計画性が求められます。例会・事業ごとにリアルタイムでの発信を意識するとともに、年間を通した広報計画のもと、SNSやホームページを最大限に活用します。媒体特性(Xは速報性、Instagramはビジュアル、YouTubeはアーカイブ性)を踏まえ、統一されたトンマナで運用します。
広報活動の本来の目的は、厚木青年会議所そのものの認知度を高めることにあります。その結果、事業や例会の意義が正しく伝わり、地域からの信頼と期待が高まり、メンバー一人ひとりの活動意欲の向上へとつながります。「私たちは何者で、何を目指しているのか」が地域に伝わる広報を展開します。プレスリリースの定型化やメディア連携、写真・動画の共有プール化を進め、誰が発信しても質を担保します。
また、出会いは成長の原動力です。青年会議所で得られる出会いは、人との縁だけでなく、新たな価値観や気づきとの出会いでもあります。こうした機会は、厚木青年会議所の内部にとどまらず、日本青年会議所や各協議会が主催する大会・研修にも広がっています。学びの機会を会全体に周知するとともに、参加しやすい環境を整え、個々の成長を促し、組織全体の活性化につなげます。研修後のナレッジ共有会を設け、知見をLOMに循環させます。
さらに、50年以上続く定点撮影は、地域の歴史を未来へ引き継ぐ誇るべき継続事業です。この意義を改めて伝え、地域住民と積極的に関わりながら共に歩み、歴史と伝統を未来へとつないでまいります。また、南海トラフ地震の発生可能性や多くの河川による水害リスクを踏まえ、平時からの備えを促すことも重要です。危機意識を育むため、災害の恐ろしさを実感できる内容を取り入れた防災例会を行い、安心・安全な暮らしに資する情報発信を進めます。
恩を送る、仲間とともに未来へ
(出向)
神奈川ブロック大会の開催に際し、出向者をはじめ多くの仲間の支えにより、無事に大会を成し遂げることができました。ご尽力いただいたすべての皆様に、心より御礼申し上げます。大会を通じて、私は改めて出向の価値を実感しました。地域やLOMの枠を超えた出会いと学び、見知らぬ土地でともに活動する仲間と支え合う経験は、かけがえのない財産です。何より、自分の可能性に気づき、成長を肌で感じられること―それが出向の魅力です。
出向で得た経験や、他の青年会議所メンバーとの絆は、所属するLOMに確実に還元し、より良いまちづくり運動へと昇華させます。公益社団法人日本青年会議所、関東地区協議会、神奈川ブロック協議会はいずれもLOMのために存在し、運動を展開している組織です。その最前線で真剣に向き合うことは、必ず自分自身の糧になります。新たな挑戦に不安を覚えるかもしれませんが、仲間と支え合いながら挑む出向は、一人では得られない経験と成長を与えてくれます。今度は私たちが「恩を送る」番です。経験を次の世代に橋渡しし、挑戦を後押しする文化を育てます。
結びに
24歳という若さで厚木青年会議所に入会して以来、様々な葛藤や悩みに直面し、時には悔しさや辛さに押しつぶされそうになることもありました。しかし、その一つひとつが今の自分をつくりました。この会は多くの気づきと出会い、挑戦と成長の機会を惜しみなく与えてくれる場所だからです。青年会議所活動は、真剣に向き合えば向き合うほど、分厚く高い壁が立ちはだかります。しかしその壁は、仲間と支え合えば必ず乗り越えられる。共に笑い、共に悩み、最後には共に喜び合える―そんな仲間がこの会にはいます。
時に参加が難しい仲間がいるかもしれません。一人ひとりに寄り添い、声をかけ、共に手を取り合って歩めるよう努めます。そうして築いた結束こそが、厚木青年会議所の真の強さであり、このまちの未来をつくる原動力です。チャンスはいつだって目の前にあります。勇気を持ってそれをつかみにいってください。誰かの挑戦を後押しする姿勢、何事にも当事者として関わる覚悟、小さな行動の積み重ねが信頼を育みます。挑戦の総量が、地域の未来を変えます。
私はこの一年、すべての挑戦に責任を持ち、すべての仲間に寄り添い、誰よりも先頭で動きます。苦しい時も、楽しい時も、皆さんとともに歩みます。英知と勇気と情熱を持って、厚木市・愛川町・清川村の明るい豊かな社会の実現に向けて、一歩ずつ、誠実に、ともに進んでまいりましょう。
組織図

